信楽 伊織【2】 

2671f3b84578e900b71457fbe4045c68 TAKAmeさんからのエピソード

TRPGの記録・※シナリオネタバレ有・話の流れを自然にするため&あまり覚えていないため、ねつ造含まれます


【紙の檻】
 伊織は、仕事関係で交流がある柊 明莉と、ある調査をしていて知り合った美島 秋の二人と共に街路を歩いていた。
三人が差し支えない話をしながら歩いていると、後ろから突然声をかけられた。
振り返ると一人の男がカメラを持って立っている。
「すみません、あなた達の写真を撮らせてもらえませんか?」
突然見ず知らずの人の写真を撮りたがるその男を不審に思ったが、返答を待たずに男はカメラを構えてストロボをたきながら写真を撮る。
そのあまりの眩しさに三人は目を瞑ったその時、突如として意識を失った。
<全員1d100・後に影響有り>

 三人が次に目を覚ますと、そこは見覚えのない場所だった。
窓のない正方形の部屋の丁度中心で三人は倒れていたらしい。
床には大量の紙切れが床を覆い尽くす程に散乱している。
伊織は、自分自身が大事そうに紙切れを握りしめていたことに気がつくと、紙にはこのように書かれていた。
【あなたの魂、捕らえるまで少しだけ待ってあげよう】
柊と秋も目を覚まし、秋はすぐさまスマホを取り出して電波を確認していたが、圏外と示されていた。
そして、二人共伊織と同じような紙を持っていた。
紙は片面がつるつるしていることがわかる。
<写真術・柊→成功>
プラスチック樹脂が塗られたようなもので、それは写真で使われる印画紙であることがわかった。
柊はそのことを二人に告げる。
一人に一枚ずつ持たされているということは、何か大事なものかもしれないと肌身離さず持ち歩くことにした。
この他に部屋は特に気になるものは無く、先に進めるであろう一つのドアがあった。
木製のドアで、鍵などはかかっていない。
ドアに<聞き耳・成功>
誰かがいるような気配がする。
注意深くドアを開けて、三人は部屋に入る。
その時、手に持っていた印画紙が突然発熱を始めた。
何が起きたのか紙を見てみると、紙にはうっすらと自分の姿が映し出されていることがわかる。(SANチェック)

 気を取直して、部屋に入ると、そこは街の写真屋の撮影スタンドといった感じの部屋になっていた。
棚にはトロフィーが飾られており、その横には三脚や撮影用の椅子が置かれている。
部屋の様子を見ていると、気の弱そうな男が横から声をかけてきた。
「あの、すみません…ここは一体どこなんでしょうか…?」
急に現れた男の存在に、三人は驚く。
こっちが聞きたいと思いながら「さあ…」と首を横に振った。
秋はその男に対し自己紹介をする。
続けて伊織と柊も男に軽く名前を言って挨拶するが、男は何か言おうと口を開くが戸惑った様子でこう言った。
「私は、えっと、あれ……すみません、…私、ここに来る直前の記憶が無いみたいで」
記憶が無いという都合のいい言葉に伊織は疑心を抱いた。
「そうですか」
伊織は自分が持っている印画紙をその男に見せる。
「俺たちと同じような、紙切れは持ってますか」
そう聞くと、男は心当たりがある様子で、懐から伊織達と同じ形をした印画紙を取り出して見せた。
「これ…ですか?」
伊織はその紙を手に取り確かめる。
確かに、自分たちが持っている紙切れと同じ材質である。それを確認した後、男に印画紙を返却した。
「先に進みましょうか」
得体の知れない人物とはいえ、ここに置いていく訳にもいかない。
万が一にも失った記憶の中にこの謎の空間からの脱出の手がかりがあるかもしれない。
三人で話し合って、この男と共に行動することになった。

 部屋全体に<目星とアイデア・成功>
部屋自体は写真屋にある撮影スタジオのようだが、その部屋にあるべきもの…カメラが一台も無いことに気が付く。
この部屋に見覚えは無いかと秋が男に尋ねると、「そういえば……どことなく、俺の職場…に似ている気がする」と答えた。

 更に棚に<目星・成功>
棚にはトロフィーや賞状が飾られている。
それらには「湯田」という名が書かれており、何か覚えがあるかを男に尋ねると、「これは…間違いない、俺が取った賞だ」と答えた。
更に、その横に懐中電灯が置いてあるのを見つけたため、三人はそれを持って行くことに。一番身軽そうな秋に懐中電灯を手渡した。

 今いる部屋の探索を終えて、一行は次の部屋へと続くドアを開ける。
部屋に足を踏み入れてみると、壁一面に風景を撮った写真が隙間なく貼られていることに気が付く。
撮られている風景は、どれも色鮮やかで美しい。
部屋の隅には本棚が置いてあった。

 柊は壁の写真を眺める。
<目星・成功>
壁一面の風景写真の中に一枚だけ、人物写真が貼られていることに気が付いた。
柊はそれを手に取り更に調べる。
その写真に写っている人物は、初老で温和な印象を受ける男性の姿をしている。
<知識・成功>
柊は、その人物の姿を思い出した。
「この人、有名な写真家よ」
写真関係には疎い伊織と秋は柊の言葉を聞いて「そうなのか」と頷く。
この不思議な空間と、その有名な写真家である男と、何か関係があるのだろうか。
人物写真がこの一枚だけというのも引っかかる。
伊織は、写真を取り扱う仕事場にいたらしい湯田に、この人物を知っているか写真を見せてみてはどうかと柊に提案する。
その通りに、柊は湯田に写真を見せて伺うと「優しそうな顔の割には、あまり人を褒めてくれるような人じゃない」と湯田は答えた。

 隅の本棚に秋は近付き<図書館・成功>
秋が手に取った本の中に、カメラの写真の歴史についての記述を見つける。
【日本にカメラが伝来したのは1841年、江戸時代末期のことである。
日本では昔から、人形など人に似せて造ったものには魂が入りやすい、と言う考えがあり、日本に写真が伝来してきたとき、あまりにもそっくりに写るため魂が抜かれる、と言う迷信すら出ていた。
また、三人で写真を撮ると真ん中の人物がほかの二人よりも鮮明に写り、魂を多く抜かれ死んでしまうとも言われていた。】

 他にはこの部屋にめぼしいものは見当たらない。
先の部屋へ進もうと三人は話を進めていると、湯田は突然「そうだ…」と呟くように声を上げた。
「そうだ…現像だ…現像しないと…」
そう言って湯田は一人勝手に、立て付けの悪い鉄製のドアの先へと歩き出す。
勝手な行動は危険だと伊織は湯田の腕を掴んで止めようとしたその時、持っていた写真がまた発熱し出した。
伊織は、湯田を引き止める手に力が入らなくなり、何とも言えぬ倦怠感を伊織の他、柊と秋も感じていた。
手にしていた写真を見てみると、先ほどよりも写る姿がハッキリしている。
先に行ってしまった湯田を追うように、三人は次の部屋へと向かう。

 部屋の景色は、先程いた部屋と同じく、壁一面に写真が貼られている。
しかし、その写真は全て人物を撮ったものとなっている。
先に進んだはずの湯田は見当たらない…物音一つさえ聞こえなかった。(SANチェック)
闇雲に進むのは危険だと伊織は柊と秋に伝え、この部屋を調べることにした。
秋は壁一面を見渡した後、顔を顰めた。
「伊織さん、一面の写真見てくださいよ…!」
全員<目星・成功>
壁一面の人物写真の表情はどれも暗い。笑顔の写真が一つもないことに気が付く。
全員<聞き耳・成功>
「ここから出してくれ」
「嫌だ、死にたくない」
といった絶望に満ちた声が微かだが聞こえてくる。
その声はどこから?耳を澄ませる…
全員<アイデア・成功>
…写真からだ。写真から恐怖に満ちた声がたくさん聞こえてくる。(SANチェック)
「た、確かに、これはひどい」
「でしょ、でしょ!?」
両耳を塞ぎ他に気になる場所が無いか部屋を見渡してみる
ここで柊が、部屋の隅にあった本棚から手記を見つけた。
手記の端には湯田の名前が書かれている。
【◎人とコミュニケーションをとりながら写真を撮ることがこんなに楽しいことだとは思いもしなかった。
人の「心の底からの笑顔」を写真に収めるということは僕が思っていたよりずっと奥深く、やりがいのあることだったのだ。
これからもっと挑戦してみよう。
◎教授が僕の人物写真を褒めてくれた。
昔からそういうことを言うような人ではないから驚きはしたものの、やっぱり嬉しかった。
今度のコンペにも俄然気合が入る。
◎これは一体どういうことなんだ?
僕の写真が教授の作品として紹介されている。
で、僕はそれを盗作したと?
…まさか教授は最初から僕を貶めるつもりだったのか?
絶対に許さない。】
湯田の憎しみがひしひしと伝わる文面だ。三人はそれを読む。
この手記から察するに、湯田という男はあの教授を良く思ってはおらず、寧ろ殺してやりたいくらい憎い存在なのだろう。
何故風景写真に紛れてその教授の写真が貼られていたのか、この部屋に貼られている教授以外の多くの人物の悲哀に満ちた写真達は何なのか…確信に至る点は未だ無い。
その手記を元あった場所に戻す。
他には何もない、何よりこの部屋から早く出たい、と三人は先の部屋へ続いているであろうドアの前に行くと、先へと続くドアは鉄の鎖で封鎖されていた。
鎖自体はそこまで頑丈なものではなく、所々錆び付いていたため、力を入れれば引き千切れそうだ。
それに気付いた秋は腕まくりをして鎖と対峙し、力任せにその鎖を引き千切った。(STR対抗)
「力には自信あるんですよ」と鼻を鳴らす秋を適当に褒めて伊織たちは先に進む。

 先の部屋は、テレビドラマでよく見るような場所だった。
柊は、部屋の様子を見てここが恐らく現像室であることを二人に伝える。
部屋自体暗くて周りがあまりよく見えない。秋に懐中電灯を手渡していたが、各々持っていたスマホのライト機能を使えることが発覚し、三人は部屋を手分けして探すことに。

 伊織は、流しとその近くにある薬品庫を調べる。
<目星・成功>
流しに付いている収納にノートが一冊入っているのを見つける。
それを読もうと手に取って表紙を見るが、どうも英語で書かれているらしい。
<英語(知識2/1)・成功>
【グラーキの黙示録ⅩⅡ】
この本にはある邪神についての記述が書いてあった。目眩がするような内容で、その中に書かれていた《イゴローナク》という名が伊織の目や記憶に焼き付くように残る。(SANチェック)
明らかに動揺している伊織を見て「どうかしたの?」と遠くから柊に声をかけられるが、伊織は少し悩んだあと「なんでもない」とそのノートを目に付かない場所にしまい込んだ。
これは読んではいけない代物だ。伊織自身そう判断しての行動だった。
気を取り直して、伊織は近くにある薬品庫を調べる。
何かの薬品が保管されているが、一体それが何なのか伊織では判断できずにいた。
伊織はその薬品を持って柊に見せた。
「これが何かわかるか?」
柊は見せられた薬品を手に取る。
<写真術・成功、更に知識・成功>
どうやら見覚えがあるようで、柊はにこりと笑って答えた。
「『GBX現像定着液』。現像によく使用するものよ。皮膚に触れると危険だから取り扱いには注意した方がいいわ」
「詳しいな。ありがとう…これは柊が持っていた方がいいんじゃないか」
「そう?じゃあ貰っておく」
薬品の正体もわかったところで、伊織はそれを柊に手渡した。

 秋は他の場所を調べていた。
そして、作業台の上に置いてあるカッターを見つける。何かに使えるかもしれないと持っていくことにした。
次に、近くにある机の上を調べると、何やら四角い箱のようなものを見つける。
これは一体なんなのか手を取り形を確認しながら考えていると、それはポラロイドカメラであることがわかった。
何故か紙テープのようなものでぐるぐる巻きにされている。
秋はカメラを手に取った時、心無しか力を奪われるような感覚に陥る。(POW1減少)
不思議に思いながらも、更に机の上を調べてみるとその近くに手記が置いてあった。
どうやら、湯田が書いたもののようだ。
<図書館・成功>
【◎何かしていないとまたふつふつと怒りがこみ上げてくる気がしたので今日は気晴らしに町の図書館に行った。
そして何気なく手に取ったこの本、全部英語で書かれているけれど、辞書とかを使えばまあ読めなくはないだろう。
というか読まなくてはならない。そんな気がしてならないのだ。
◎友達が出来た。■■■■■という名前らしい。
彼は僕にいろんなことを教えてくれる。
たとえば、写真の撮り方とか。
◎教授の写真を撮って一週間が経った今日、教授が死んだとの知らせを受けた。
友達の言うことは本当だったんだ。
このカメラは人の魂を「抜き取る」。
あの人がこの世からいなくなったと思うと心がとても晴れやかだ。
◎もっとだ。まだ足りない。
もっと とらなくては。もっと。もっと。魂を。】
秋は自分が見つけたカメラと手記を伊織と柊にも見せる。
手記を見た三人は、自らが置かれている状況を把握した。(SANチェック)
更に伊織は、手記の中で何気なく手に取った英語で書かれていた本について、心当たりがある。先程見つけた『グラーキの黙示録ⅩⅡ』のことで間違い無いだろう。
湯田はあの本を図書館で見つけて読んでしまった。
そして…文字が潰れてしまって読めないが、何者かと接触し、おかしなカメラを手に入れた。
魂を抜き取るカメラとは、今秋が持っているものだろうか?と伊織は目線をカメラに移す。
伊織の目線がこちらに向いていることに気付いた秋は、思い出したように口を開いた。
「あ、そういえば、このカメラなんですけど…持った時に変な感じがして」
「変な感じ?」
「ちょっと持たせて」と柊は手を差し出す。秋は快くそのポラロイドカメラを手渡した。
柊はそのカメラを持った途端、きょとんとした様子で「ああ〜」と納得したように声を上げた。(POW1減少)
「確かに、スッと何かが抜けていった感じがする」
「大丈夫なのか、それ」
心配する伊織に柊は「持ってみる?」とカメラを差し出すが、とても嫌な予感がした伊織は「いや、いい」と言って断った。
柊はカメラを秋に返却し、これまで得た情報を整理することにした。
三人で歩いているところに現れた謎の男に写真を撮られた時、この謎の空間へと飛ばされた。
この時既に魂を抜き取られていたのかもしれないが、印画紙の裏に書かれていた【あなたの魂、捕らえるまで少しだけ待ってあげよう】の通り、魂を完全に取られるまでの猶予を与えられている。
何故なのかはわからない。しかし、あまり時間が無いはずだ。
部屋を進む度に発熱し、自分の姿がはっきりとしてきた印画紙が完全になったら、時間切れということだろう。
心無しか身体も重く感じる。早々にこの空間から脱出したいところだが、未だその方法は見つからない。
あの湯田という男が関係していることは確かだ。寧ろ、元凶は彼以外にいない。
どちらにせよ問い詰める必要がある、力づくでもこの空間から脱出しなければ…。
覚悟を決めた三人は、先へ進む事を決意する。

 先の部屋へと続いているであろうドアはボロボロで酷く錆び付いている。
部屋に入る前に、伊織はドアに聞き耳を立てた。
<聞き耳・成功>
人がいる気配がする。
そのことを伝えて「湯田かもしれない」と警戒するように言った。
伊織も、コートのポケットに忍ばせていたナイフをポケットの中で手に取り、何が起きてもいつでも対処できるよう警戒を強めた。
そして、錆びたドアをゆっくりと開ける。

 殺風景な部屋の中に湯田は立っていた。
秋が恐る恐る話しかけても応答は無い、向こうの壁を見ているようだ。
不審に思った伊織は湯田と距離を取りながら湯田が見ている壁へと近づく。
<目星・成功>
壁の中心にはドアスコープのような小さな穴があいている。伊織は湯田の様子を窺った後その小さな穴に目を近付け覗き込んだ。
<目星2/1・成功>
穴の向こうにはここと同じような正方形の部屋がある。
そして、そこには壁一面に首の無い太った大男が映っていることがわかった。(SANチェック)
気味の悪いものを見てしまった伊織は直ぐに穴から目を離した。
あれは一体何なのか?伊織の気が動転しているのも束の間、後ろにいる湯田が喋り出した。
「友達の名前、漸く思い出したんだ」
伊織、柊、秋は湯田を警戒し、じっと見る。
「何で早くから彼を頼らなかったのか…自分の間抜けっぷりに呆れてしまうよね。カメラなんて使わずに、最初からこうすればよかったのに。この手で直接殺せばよかったのにね」
と湯田は三人に対してでは無く、何かと話している。
<柊と秋のみ・聞き耳2/1・失敗>
<冒頭の1d100で一番出目が大きかった&『グラーキの黙示録ⅩⅡ』を解読した・伊織・自動成功>
湯田は小さな声でこう呟いた。
「イゴローナク」
伊織はそれを確かに聞き取ってしまった。
点と点が繋がった。湯田が言う友達とやらの正体は本に書かれていた邪神『イゴローナク』だ。
直後、湯田の半身は大きく膨れ上がり、手の平に口のある白熱した白い腕が現れる。(SANチェック)
それを見た瞬間、伊織はプツンと何かが切れたような気がした。
(ああ、これが、邪神?イゴローナク??)

 一方、柊と秋は湯田のえげつない姿を見て多少堪えたが、気を取り直してどう対処するか様子を窺っていた。
湯田がああなってしまった以上話し合いで解決…という訳にはいかない。
現実を受け止め、秋は考えていたことを伊織に伝えようと声をかける。
「伊織さん、俺思いついたことがあるんですけど」
しかし伊織からの返答は無い。不思議に思った秋は伊織の方を振り返る。
「伊織さん?」
「美味そうだなぁ、アレ」
は?と秋は思わず声を上げる。
この状況で何笑えない冗談言ってるんだこの人は?と秋は訝しげな顔で伊織の顔を見たが、恐ろしくも冗談を言っていないような様子だった。
もう一度伊織に声をかけようとした時、ドタドタと湯田だった異形の化け物がこちらに向かって走ってきていることに気が付く。
秋と柊は咄嗟にやばいと判断し、その化け物から離れるように走り出す。無論、二人は伊織も同じように動くだろうと思っていたが、その場から逃げようとせず、化け物を見据えて立っていた。
化け物はその白熱した白い腕を伊織へと伸ばした。
<貪り食う・伊織のHP4減>
伊織はその腕を掴み、隠し持っていたナイフで化け物を切りつける。
<拳(ナイフ)・成功>
どうやら伊織は、化け物の肉の一部を切り落としたかったらしく、僅かな傷しか与えられなかったことに不満を抱く。
「食べさせろ…食べたいんだよ、なあ」
伊織はぶつぶつとうわ言のように己の食欲を曝け出している。
いくらか時間が経ったその時、カメラにぐるぐる巻きになっていたテープがひとりでに剥がれ落ち、突如として作動し始める。
化け物と伊織の二人だけの戦いが繰り広げられている中、様子がおかしい伊織を見て秋は柊に震えた声で言う。
「俺考えてたんです。そのカメラのこと!それを使ってあの化け物を写せば、魂を抜き取って撃退できるんじゃないかって…!」
このままでは伊織が危ないと判断した秋は焦り気味に柊に伝える。
柊も提案に賛成し、ポラロイドカメラを構えるが…
「…ダメ!伊織が化け物の近くにいてとてもじゃないけど写せない…」
柊と秋が話し合っている間にも伊織と化け物の間で本気の殺し合いが繰り広げられている。
一か八かやってみるしかない。
ふう、と溜息を吐いて柊は伊織と化け物の交戦の隙を見て、伊織の腕を掴んで大声で言った。
「こんな白っちょいデブの肉食べたらお腹壊すから!!だから三人で、美味しい焼肉食べに行こう!!」
<精神分析・成功>
それを聞かされた伊織は最初は何を言っているんだ?といった様子で、呆気に取られていた。
「焼肉…」
「何が食べたい?」
「…」
伊織は改めて、湯田だった白い化け物を見る。
「牛サガリが食べたい」
「よし」
正直、自分が何をしていたかあまり覚えていない。
柊の機転のおかげで、伊織の異常なまでにあった食欲は無くなり、冷静さを取り戻すことが出来た。
気を取り直して、今の状況を整理する。
「柊がそのカメラを使って化け物を写すんだな?」
「そう、極力あの化け物には近寄らないようにして。万が一写っちゃった場合、魂が抜かれる可能性がある」
「わかった。じゃあその間柊が化け物に狙われないように誰が囮役をするかだけど」
話し合いをしているうちに、化け物は再び走り出す。
三人散開して逃げ出すと、化け物は迷い無く伊織の方へ追いかけて来る。
「やっぱ伊織さんしか見えてないみたい」と秋。
「なんで??」
追いかけて来る化け物から逃げる形となってしまったが、あの化け物は自身の身体のバランスが非常に悪いらしく、追い付かれるといった心配は無かった。
化け物とは十分な距離を取っている。
伊織は柊を一瞥すると柊は言われるまでもなく、好機の瞬間、化け物の姿を写すためポラロイドカメラのシャッターを切った。
<写真術・成功>
<POW対抗ロール・成功>
ポラロイドカメラから写した写真が出てくる。ハッキリとその姿を写すのにはもう少し時間がかかるようだ。その間、成功してくれと願いながら伊織は化け物からの攻撃に対して回避に専念する。
そして、遂に化け物へと変貌してしまった湯田の姿がはっきりとフィルムに写し出された。
その瞬間、三人はここに来る直前のような強い光を浴びる。
眩しさのあまり、目を閉じたその時、意識が遠のいていくのを感じた。

 三人が目を覚ました時、身体を起こすとその場所は見慣れた街路だった。
互いに何があったかを確認し合うと、今まであったことは夢にしてはあまりにも出来過ぎていることを悟る。
例え夢だとしても、三人が同じ場所で、道端で突然倒れ込み、同じ内容の夢を見るだろうか?
不気味に思いつつも、取り敢えず今は、皆生きて目を覚ましたことを喜びあった。

 後日、伊織は家のテレビでニュースを確認していた。
湯田という男が廃人状態で発見されたと報道されていた。
元より警察の調査で殺人容疑がかけられていたようで、事情を聞こうとしたところ、その状態の湯田を発見したとのこと。
まるで魂を抜かれたように、虚空を眺めていたという。

<生存>


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