天道魁story 

Img1440087759725 天河さんからのエピソード

御子柴清少年が天道魁になるまでの過程


御子柴清少年は凡才だった。
大きな総合病院を持つ外科医の家庭に生まれ、約束された将来のために身を燃やして勉強をした。
小学校からエリートが集う私立の学校に通うも、成績の順番は常に中間を保っていた。
たまたま90点を取ったとしても、100点以外を取るなど御子柴家の恥と言われた。
周りと比較され、1位を取れと焦らされ、褒められる事を諦めた。

清が9歳の頃、弟が生まれるも彼は常にトップクラスの成績で、6歳で割り算をある程度理解していた。
小学校に入る前から親に褒められ、その実力は時間の経過とともにグングン上がっていた。
しかし脳がうまくできすぎている分やる事は破天荒で、窓から飛び降りたりカッターで遊んだりと、よく怪我をしていた。
何故このような常識を持ち合わせていない者に勉強ができて自分にはできないのか。訳が分からない。糞食らえだ。
そうして、清は学校以外の時間は部屋に引きこもるようになった。

中学に上がってからも学校に楽しみはなかった。
周りの連中は楽しそうに友達ごっこをしている。慣れ合う事の何に価値を見出しているのだろう。
…そうだ。あいつらは一人じゃ何もできない下等生物なんだ。馬鹿だ。糞だ。
友達なんか作ってたまるか。あんな弱い奴らと同じ教室にいるなんてノーセンキューだ。
そうして、清はピロティに逃げた。ピロティの自販機横のスペースが清の特等席だった。

彼が14歳の頃、学校に行きたくないという願望がピークに達していた。
しかし、朝は無情にもやってくる。家政婦が毎日起こしに来る。太陽は東から顔を出す。
勉強以外何も与えられていない清は日が過ぎ去るのを待ちながら机に向かう事しかできなかった。
そんなある日、自室で勉強をしていた所、声が聞こえた。
「悔しいだろう。自由になりたくはないか?」
振り返っても誰もいない。辺りを見回しても閑散とした部屋しか見えない。
誰だ。頭の中で話しかけても、その声は返ってこなかった。しかし、確実に彼の心に引っかかっていた。
あの声の主は誰だろう。それを追い求める日々が始まった。それが清の唯一の希望となっていた。

しかし、それから声が聞こえる事は無かった。
悔しいし、自由になりたい。しかし、気持ちだけでは敷かれたレールの上から抜け出す事はできない。
運命に逆らうなんてできるはずがない。そう思いながら、高校、大学を経て、研修医になっていた。

研修医となった清は、金には困らなかった。
給料こそ少ないが親からお小遣いを貰えていたからである。
それでも、何故自分が医者である必要があるのか理解できない。
自分の人生の全てを親に決められ、平凡な才能しか持ち合わせておらず、おまけに友達もいない。
精神が疲労した清に、再び声が聞こえた気がした。
清は誰にも聞こえないような声で、「バラディア…スラーパ様」と呟いた。
そして今まで貯めたお小遣いで中古の一軒家を買い、荷物をまとめ、御子柴家を後にした。

その後は、バラディア教の教祖として天道魁と名乗る。
警察が大々的に捜索するだろうと思い、髪を染めた。しかし、天然パーマは直らなかった。
そして神に仕える者として、丁寧な言葉を使うようになる。
家も教会のようにリフォームし、貯金も使い果たした。
しかし、彼の人生は今までで一番輝くものとなった。
今日も一日、レッツバラディア☆

-END-