ルークとキルラ4 Romantic blue 前編 

4e6dd022f7b780c86304383ef7b1a3f2 柊谷 信乃さんからのエピソード

ルークはキルラとの口約束を果たすため、キルラの城に遊びにいく。そこで一緒に料理するはずだったが、せっかく二人だからのんびり話し合いたいと言うキルラの意向に従い、カフェを訪ねることにした。


私はマリーゼ王国の城下町まで向かっていた。キルラの希望通り、私は一人でやって来たわけだがその事を早速後悔するくらいマリーゼはお洒落な街が広がる国だった。
しかし彼女は待たせると機嫌を損ねそうなタイプだ。早々に訪問せねば。

ルーク「それがしはルーク=モリスと申す。それがしはキルラに用事がある。すまないが、出してくれ。」
ラティーシャ「キルラ様なら今か今かとそわそわしながら貴方を待ちわびておりましたよ。今すぐ呼んできますね。」

キルラ「おそーい!」
ルーク「すまんな、これを仕入れていたら思いの外時間がかかってな。」
私はキルラを訪ねる前に予め小瓶を買ってきていたので、これを渡した。
キルラ「いいの?……ところでこれ、なに?」
ルーク「開けてみてくれ。」
キルラ「どれどれ……あっ、小瓶だ!」
ルーク「それで花でも活けたらどうかと思ってな。」
キルラ「素敵!ありがと!じゃあ早速花を活けたいから一緒に行こう?」
ルーク「良いだろう、行こう。」

キルラは私の手を引っ張り、勢いよく駆け出した。

キルラ「まずはここ!」
ルーク「うむ、ちょうど見てみたいと思っていた場所だな。」
キルラ「あんたなかなか見る眼あるのね。」
ルーク「モリスにはここまで透き通った碧の海はないからな、思わず見いってしまった。」
キルラ「それで遅くなったの?」
ルーク「ほぼそうだな。後はさっきの小瓶だ。」
キルラ「……それなら仕方ないな。あたしの国の中で何か一つでも気に入ってくれたんなら、とても嬉しいよ。」
ルーク「ずっと眺めていられそうだ。」
キルラ「うそ!そんなに?……へえ、あんたものんびりするの好きなのね?」
ルーク「仕事人間だと思っていたか?」
キルラ「仕事人間っつうか野心家?」
ルーク「それはお前も対して変わらんだろう」
キルラ「あはっ、確かに。」
ルーク「そういうお前こそ、のんびりするのは性に合わないか?」
キルラ「そんなことないよ?確かに普段のあたしは騒ぐの好きだしうるさいかもしれないけど、好きな人とだったらどんな時間でも好きだよ。」
ルーク「そうか……うむ、それがしもだ。」
キルラ「へ?」
ルーク「それがしも、友と過ごす時間はどんな時も大切だと思っている。」
キルラ「なんだ友達か……」
ルーク「そういえば、腹は減ってないか?」
キルラ「んー、そろそろお昼ね?あたしはそうでもないけど、ルークはお腹すいた?」
ルーク「そうでもないんだが、お前の国ではどんなものを食べているのかと思ってな。」
キルラ「んー、そういうこと……なら、ピッツァは?」
ルーク「ピッツァ?ああ、名前は聞いたことがあるな。」
キルラ「長門の人にピッツァって教えても絶対ピザって言うらしいよ。」
ルーク「なんだピザか、それなら一度だけ食べたことがあるな。」
キルラ「上には何が乗ってたの?」
ルーク「たしか、トマトとサラミ、それとチーズか。その時食べたものは当たり障りないパンと言う印象だった。」
キルラ「パン!?あははっ!じゃあ本場の味を食べたらきっと病み付きになるね!」
ぐぅ~……
キルラ「ごめん、話してたらお腹すいちゃった!」
ルーク「それがしも腹が減った。」
キルラ「じゃあ決まりね!ピッツァを食べられるカフェに行こう!」
ルーク「よし、乗った!」

私たちはピッツァを食べるために、キルラの知り合いが経営すると言うカフェを訪ねた。

キルラ「おひさー!」
リドラ「あ!キルラ様だ!こんにちは!」
キルラ「こんにちは。リドラ~、元気してた?」
リドラ「元気だよ!キルラ様は元気だった?」
キルラ「うん、今はこのお兄さんがいるからもっと元気!」
リドラ「初めてみる人だね、こんにちは!」
ルーク「こんにちは。お前は礼儀正しいんだな。」
リドラ「ありがとうございます!お兄さん、何てお名前なの?」
ルーク「それがしか、ルークだ。」
リドラ「ルーク?お母さん~、この前キルラ様がニヤニヤしながら話してた素敵な王様ってこの人のこと?」
キルラ「ちょっ……!ニヤニヤとか言わないで!にこにこ!ニコニコしてたの!」
ルーク「あまり変わらない気がするが……」
リドラママ「ようこそいらっしゃいました、ルーク様。貴方の噂はかねがね伺っております。」
ルーク「うむ、ここはなかなか良いところだな。管理が行き届いていて洗練された空間だ。」
リドラママ「ありがとうございます。本日お代金は頂きませんから、どうぞお好きなものをお召し上がりくださいね。」
ルーク「そう言うわけにはいかん。相応の代金を言ってくれ。」
リドラ「ルーク様変なの~。普通だれも遠慮しないよ~。」
ルーク「いいんだ。少し多目においていくので、差し支えなければその子に何か買ってやってほしい。」
リドラママ「いえ、そう言うわけには……」
ルーク「気にしないでくれ、その子には教育費などが必要なはずだ。」
リドラママ「では、ありがたくいただきます。」
キルラ「タダ金置いてってどうするのさ?何か頼もうよ!」
ルーク「それもそうか?」
キルラ「どれにする……?」
リドラ「おすすめはね、マルゲリータ!」
ルーク「弓の達人マルゲリータ?」
リドラ「マルゲリータさんがおいしいって喜んでくれたからマルゲリータって名前になったの!」
ルーク「なんのことだ?」
キルラ「ピッツァ。マルゲリータはマリーゼ出身なのよ。」
ルーク「そうだったのか!望めるならば一度手合わせを願いたいものだが……」
キルラ「じゃあまずはマルゲリータ。それからシーフードピッツァ、アラカルトはサーモンのマリネで、ドルチェは後でチーズケーキをお願い!」
リドラ「キルラ様、勝手に決めちゃってよかったの?ルーク様にも悩ませてあげなよ。」
キルラ「ルークは初めて食べるからどれから食べたらいいか分からないのよ。ね、ルーク?」
ルーク「よくわかったな。」
キルラ「どう考えてもこんなたくさんのメニューが文字で並んでて全部きっちり想像つくわけないしね。でも今日現物を見たら次は頼めるでしょ。」
ルーク「ありがとう。」
キルラ「いいってことよ。」
リドラ「ご注文確かに承りました~!お母さん、つくって!」
リドラママ「はい、どうもありがとうね。」
リドラ「お水どうぞ~!」
キルラ「ありがとう~!あんた頑張ってるのね、これあげる!」
リドラ「飴ちゃんだ~!お母さん、キルラ様から飴ちゃんもらった!」
リドラママ「よかったわね~!キルラ様、ありがとうございます。」
キルラ「ああ、いいの!気にしないで!ところでルーク。」
ルーク「なんだ、改まって。」
キルラ「あんたって子ども好き?」
ルーク「まあまあ、人並みには。」
キルラ「あたしは子どももお年寄りも皆好きよ。一生懸命生きてる人を見るとさ、頑張れってつい支援しちゃう。」
ルーク「税金は大丈夫なのか?」
キルラ「ん?そこまで枯渇してる訳じゃないよ。てかさ、せっかく二人でいるのにそういう政治っぽい話に持ってくのやめてくんない?」
ルーク「すまなかった。」
キルラ「いいんだけどさ。あたしはあんたとの時間を楽しみたいから、今は女王とか王様とか、そういう身分は忘れさせて……?」
ルーク「キルラ……」
リドラ「お待たせしました~。アラカルトのサーモンのマリネだよ!」
キルラ「おっ、ありがとう!」
ルーク「さっぱりしそうな印象だな。」
キルラ「酢漬けだからね、ちょっと酸っぱいけどあんたの言うとおりさっぱりしてるよ。おいしいから食べてみな。」
ルーク「うむ。」
キルラ「はい、あーん♡」
ルーク「うん?」
キルラ「食べさせてあげる!」
ルーク「別に手は怪我していないが……?」
キルラ「むぅ~……」
ルーク「あー」
キルラ「あーん♡」
ルーク「うむ、見た目通りさっぱりした味だ。サーモンも脂が乗っているがそれでもさっぱりした印象が変わらない。酢漬けも面白いな……。」
キルラ「ワインビネガーって言うお酢を使っているのよ。ワインから酢を作るの。」
ルーク「なに!ワインからだと?何でも出来るんだな……」
キルラ「ねえねえ、私にもあーん♡ってしてよ」
ルーク「?」
キルラ「あー」
ルーク「ほら、あーん」
キルラ「んー!ありがとう、ルーク!てっきり嫌な顔すると思ってたけど自分がやるのは大丈夫なのね。」
ルーク「まあな。これくらいならアルバにもやっていた。風邪を引いて寝込んでいるときだけな。」
キルラ「は!?羨ましいなぁ……」
ルーク「え?」
キルラ「アルバになりたい!」
ルーク「いや、それは無理があるだろう……」

大胆なアプローチを仕掛けるキルラと、若干引き気味のルーク。もはや恋心に気付いていないとは言わせないアプローチは後編に続く……


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