Missing thumbりざさんずさんの創作っ子
Missing thumb

ネフ

「生命力の花を咲かせる翡翠の歌声」

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プロフィール

フルネーム
Nephrites=Luludi=Venefica
フリガナ
ネフリティス=ルルディ=ウェネーフィカ
登場作品
【アダマンタイトの見た夢】
年齢
16歳で成長停止
誕生日
4月4日
性別
血液型
B型(タイプ)
身長
155cm
体重
身長に対してかなり軽い
出身地
<夢幻の森>
一人称
わたし
二人称
あなた
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【概要】
 シスやニキとたびたび交流している、花の匂いがする少女。

 姿こそ人間と酷似しているが、その正体は<魔法使い族(メイガス)>という種族。この一族は非常に寿命が長く、ある年齢を迎えると一切肉体が歳を取らなくなるという特徴を持つ。ネフも例に漏れず、16歳を迎えた時点で成長が止まっているため実年齢は不明。

 記憶喪失であるらしく、自分の過去・家族・自分が何者であるか、などのほとんどの情報を覚えていない。そのため本来は身寄りも無いはずだが、シスとニキが目をかけているおかげで安穏無事に過ごせている。普段はシスの住む「黒い森」とは別の場所にある、不思議な花や植物で覆われた「夢幻の森」に居を構えており、自身の育てた花や薬草を加工したものを人間や<マモノ>たちに売って生計を立てている。
 商品の質の良さや効能たるや、名のある貴族や魔導師たちも御用達にするほどの高品質だが、ネフ自身の評価は(主に人間の客から)「愛想が悪い」「無表情の人形みたいで怖い」「こっちを見つめる視線が淡泊すぎて目を合わせられない」など散々な言われよう。一方<マモノ>の客からは「質のいいものを良心的な値段で売ってくれる」「無表情なだけで常に客に合ったものを勧めてくれる」「何はともあれ美人」などと非常に愛されている。

 本人曰く、「他人(特に人間)を見てもその顔を『顔』として認識できず、代わりにその他人の持つ髪の色と関わりのある色をした『花(実在の花だけでなく架空の花も含む)』が頭部として置き換わって見える」という不思議な症状を抱えているらしく、人間たちから「視線が淡泊」と言われてしまうのはこれが大きな原因の一つ。

 <魔法使い族(メイガス)>であるため、魔法の技術面・知識面はもちろん秘める魔力の質も非常に優秀。植物を自在に操り、攻撃・回復・補助の一切をこなすオールラウンダー。ただしあまり持久力が無く、大魔法を何発か使用するとすぐにバテてしまう。そんな事情もあって、普段はあまり消耗する行動は起こさないようにしており、自宅に引きこもっている。白兵戦はもっぱら大の苦手で、そもそも腕力は人並みな上武器を持つことも慣れていない。

 神の遺産である魔法が結晶化した宝石<ミステリアジェム>を宿した特異体質持ちで、「翡翠」を宿している。
 能力は「魔法の花を咲かせる翡翠の歌声」
 ネフだけが扱える歌声で歌うことで、彼女の周囲に花を中心とした植物を芽吹かせることができる。ある時は花に触れた者に力を与え、ある時は樹木でシェルターを形成し、またある時は毒をもたらす草花で相手の身動きを封じる、というように植物はネフの意志であらゆる用途に使える補助特化の能力。補助が中心のため大規模な攻撃行行動には応用できない他、炎や氷の力の前ではほぼ無力。

【性格】
 <魔法使い族(メイガス)>ゆえ、基本的に人間に対して無関心。とにかく人間の生態や行動に興味が無い反面、植物、特に花に対しての熱意は折り紙つき。花や草木に対してはどこまでも慈悲深く、またそれらと関わりの深い動物たちのことも心から慈しんでいる。動植物と心を通わせることができるため、動植物を傷つける者には容赦なく魔法で報復する。
 普段は無表情で口数が少なく、見た目では何を考えているかよく分からない。見た目こそ若いが実際はなかなかの年月を生きているためか、はたまた過去にあった出来事のせいなのか、老成していて物事に達観しており、かなりクールでドライ。興味の無いものに対しては塩対応で慈悲もないため、良かれ悪しかれ好き嫌いがはっきりしているタイプ。

 群れることはあまり好きではなく、友人と呼べる存在も限られている。基本的には独りを好んでいるが、本当は非常に寂しがり屋。信頼する相手にはとことん目をかけ、相手次第では甘えたりもするため、根は年齢相応に幼い部分もある。普段は冷静でしっかり者ではあるが、シスやニキから言わせればまだまだ未熟な小娘。想定外のことや自分のキャパシティを超える出来事にはまだ冷静に対処しきれない部分もあり、不意打ちされるとあたふたしてしまうところもある。

 自ら積極的になることはあまりないが、根は真面目で責任感が強く完璧主義。そのため何か問題が起きると、他人に相談したり頼ったりせずに自力で何とかするまで気が済まないという、良く言えば自立した、悪く言えば不器用で柔軟性の無い部分がある。また、普段こそ身長でそつがない振る舞いを見せるが、根は16歳の少女のため感情的な部分や抜け目も存在するし、本当は己の抱く理想を捨てきれない部分もある。

 
【対人関係、嗜好など】
 人間に興味が無いため、エージェントギルドの人間アルジェントとはなかなか打ち解けずにいた。しかも、自身が慕う存在(シス、ニキ)と親しげにしているのが気に入らず、最初は特にトゲトゲした態度を取りがちだった。が、アルの生来の優しさや純粋さに少しずつ心を開き、段々興味を持ち始めている様子。最近は、薬草や植物由来の薬について尋ねてくるアルに色々教えてやるのが割と楽しい。

 <吸血鬼(ヴァンパイア)>アメシストスを、父親でもないのに「パパ」と呼んで慕い、本当の父親のように懐いている。基本的にシスを心から信頼しているため、たまに反抗期の娘のような態度を取ることはあれど彼の意向に背くことはほとんど無い。自身の本当の父親は覚えていないが、漠然と「この人が本当の父だったらよかったのに」と密かに思っている。

 <厄神(やくじん)>オニキスからは妹か迷い猫のように目をかけられ可愛がられている。そのため、普段はニキに素っ気ない態度や憎まれ口を叩くこともあるが、心の底では兄のように見ており、何だかんだで一緒にいることも多い。自身の複雑な事情も大らかに受け入れてくれるニキを心から信頼してはいるが、たまに過剰なスキンシップをされるのだけが不満。

 <魔法使い族(メイガス)>は人間と同じ食生活のため、ネフも自身で食事を作って生活しているが、少食のためあまり食事には困っていない様子。後述する苦手なものの影響で、自宅には暖炉やかまどの類は置いておらず、火を使わない料理が主。好物はベリーをふんだんに使ったベリージャムと、キノコたっぷりのホットパイ(いずれも自作はせずに外で買ってくる)。ジャムはパンやヨーグルトなど、ほとんど何にでもかけて食べるほど愛用している。パイは、猫舌なので食べるのに苦労しながらも食べたいと思うくらいには好きらしい。

 この世で一番苦手なのは。蝋燭に灯る炎程度なら動じないが、暖炉やかまどで燃える大きめの炎を見ると血の気が引き、軽くパニックになってしまう。野営での焚火などは以てのほかで、見かけると即座に消そうと躍起になるほどトラウマを抱えている。他にも、いい思い出が無い+体が冷えるという理由で、トラウマになっていないとはいえも苦手。

 長い袖かつ肌を露出した服を好んでおり、普段身に纏う服もなかなか際どいものが多い。曰く「肌が出ていた方が感覚が研ぎ澄まされるので普段の仕事にちょうどいい」らしい。しかし当然ながら、客からセクハラを受けることも度々あり、そのことをシスからは非常に心配されている。

 魔法使い族の中でも植物をコントロールする魔術に長けた一族「ルルディ族」の出身のネフ。
 族長の娘として生を受けた彼女は、一族の中でも器量好し、加えて頭も良く魔法の才能に溢れていたため、一族を挙げて「一族のホープ」「一族を導く未来のリーダー」などと期待を寄せられていた。そんな出来のいい娘を授かった両親も、ネフを大層可愛がり、望むものは何でも与えてやった。

 誰からも親しまれ、愛されたネフだったが、彼女はそれが嬉しくなかった。
 両親を含め、大人たちがどうして未熟な自分に必要以上に期待を寄せるのか。どうして過剰に特別扱いするのだろうか。どうして「普通の女の子」として、「普通の娘」として扱ってくれないのか。これでは悪意のない「仲間外れ」じゃないか。
 幼くも賢かったネフは自身の扱いをそんな風に捉えていたため、決していい気になることができなかった。
 周りの大人はみんな優しいけれど、それは「自分が特別な存在だから」優しいだけで、その実ネフ自身を理解して接しているとは思えなかった。ゆえに周りの大人は信頼し、甘えられる存在ではなかった。
 ネフにとって、両親も一族の同胞も、「自分の思う理想や完璧を押し付けてくるだけの存在」「ネフを『ありふれた少女のネフ』としてではなく、『理想を叶えてくれる特別な存在』として、ひいては『体のいい道具』としてしか見ていない」、そんな無味乾燥な存在だった。
 事実、両親も同胞たちもネフの孤独に気が付くことはなかった。その慈しみは「一族に生まれたかけがえのない普通の子」としてのものではなく、ただただ「一族に希望をもたらす特別な存在」としての、むしろ崇拝や畏敬や妄信に近いものだった。

 それに気が付いてしまった幼い心は不信感だらけになり、いつしかネフは信頼できない相手、ひいては興味を持てない相手の顔を『顔』として認識できなくなり、代わりに顔が花に置き換わって見えるようになってしまった。
 それでも、生来真面目で責任感の強かったネフは皆の期待に応えようとした。歌や魔法の腕も磨き、植物のコントロールも訓練した。族長になるために必要な礼儀作法や勉強も真剣に取り組んだ。
 波のように寄せられる皆の期待を裏切りたくなかったのだ。……いや、本当は完璧ではない自分を知られて皆から幻滅されたくなかっただけだった。周りのやつらを信頼していないくせに、心の拠り所の無い自分にはその信頼できないやつらしか寄る辺が無かったからだ。彼らから幻滅され、見放されたら自分はどうなるのだろう。そう思うと、縋るしかなかったのだ。
 自分は次期族長なのだから、皆から期待されているのだから、いついかなる時も完璧でいなければならない。ネフはそうして常に自分を厳しく律し続けた。

 そんなネフに悲劇が訪れる。

 きっかけは、一族の住処の森のシンボルである巨木「ラウファラーシャ」に捧げる儀式。
 別名命蝶樹(めいちょうじゅ)とも呼ばれるこの巨樹は、春になると蝶のような形の花を咲かせる樹木で、この一族の住む森にしか無い希少な植物だった。生命力が花として咲くだけではなく、花が散るとその花弁は蝶へと変わって森中に散り、森の植物たちの生命力の糧となるためこのような名前が付いているという。
 もとは単に花弁が蝶に似ているだけの普通の樹木だったが、この樹木に宿る生命力が結晶化し、<ミステリアジェム>を宿すようになってから、森は樹の散らす蝶の花により実り豊かになり栄えていったらしい。

 百年に一度、族長が変わるタイミングで行われるこの儀式は、一族にとっては命の樹であり大事な御神木のような存在である「ラウファラーシャ」に、選ばれた魔女が祈りの歌を捧げ、次の100年もまた森や一族が栄えるようにはからう大事なものであった。

 ネフは次期族長として即位すると同時にこの歌い手として選ばれ、儀式のその日に魔法の歌を歌う。
 しかしこの時のネフは、族長としての礼儀作法や魔女としての歌の訓練などに追われたことによる極度のプレッシャーと日々のストレスが爆発寸前だった。それゆえに歌を最後まで覚えきっていないという、笑えないほど未完成の状態だった。
 それでも、そんなことは言い訳にできない。むしろ、一族の誰もがネフがそんな未完成な状態だとは思いもしなかった。だから、ネフも口を閉ざしたし、一族の誰も、両親さえも、ネフを気にかけることはなかった。
 ネフは張り裂けそうま不安と疲労の中で儀式に臨んでしまった。案の定、歌は最後まで紡がれることは無かった。ネフは途中から声が出なくなり、歌詞もメロディも飛んでしまい、過呼吸に陥る。
 歌を最後まで歌いきれず終えたため儀式は失敗。不完全な儀式により「ラウファラーシャ」に宿る<ミステリアジェム>は暴走。「ラウファラーシャ」は今までにため込んだ魔力を森中に放ち、沢山の蝶の花で覆い尽くしてしまう。それだけではなく、性質の歪んだ樹が散らした花もまた性質が歪み、花弁から変わった蝶が触れたものは膨大な生命力を注がれその身からあらゆる植物を生やすようになった。ネフの一族の者たちも次々になすすべもなく蝶の花に触れ、体からあらゆる花や植物が生え、樹皮に体を覆われ、植物の塊となってしまった。

 その惨状を目の当たりにしたネフはパニックになり、暴走する樹に縋りついた。

「やめて!わたしが悪いの!わたしが失敗したのが悪いの!みんなを殺さないで!!」

 しかし「ラウファラーシャ」の暴走は止まらない。パニックになっているネフは何とか樹の暴走を止めようと、とっさに魔法を使い、樹に火をつけた。樹は叫び声を上げて燃え上がった。が、火はあっという間に森中へ広がり、ネフも逃げ遅れて火の中で気を失った。

 次にネフが目を覚ますと夜で、雨が降っていた。
 その雨のおかげか、森は少し焼けてしまっていたが、ほとんど無傷で何事もなかったように静かだった。「ラウファラーシャ」だけが綺麗に焼けて消えていたが、植物に変わってしまった土地や同胞たちはそのまま無傷だった。

 しかし、あまりの出来事にネフは今までの記憶が飛んでしまっていた。なぜ自分がこの森にいるのか、何があったのか、自分は何者なのか。まるで思い出せなくなっていた。とにかく今はここにいたくなくて、ネフはふらふらと森を出て彷徨った。
 雨の中彷徨い、黒い森に立ち入った頃には空腹と疲れで歩けなくなったネフ。仕方なく、大きな木のうろに入って体力を温存しようとするが、雨でびしょ濡れの体では寒くてたまらず、意識も朦朧とし始めていた。

 そこへ、偶然通りかかったのはアメシストスとオニキスだった。
 二人は火傷を負ったびしょ濡れの少女を見て何やら察すると、彼女を屋敷に連れて帰り、身綺麗にしてやると食事を振る舞った。
そして、記憶のないネフをしばらく屋敷に置いてやることにした。

 この時、焼けてしまった「ラウファラーシャ」は自身の内に宿る「翡翠」の<ミステリアジェム>をネフに潜り込ませていた。
 そのためネフは記憶がないにも関わらず「枯れた樹を蘇らせたい」という漠然とした願望=「ラウファラーシャ」の意志に駆られ行動する場面がたびたび見受けられるようになる。