Missing thumb睦月さんの創作っ子
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「魂の重さは21g」

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    プロフィール

    フリガナ
    まこと
    登場作品
    クトゥルフ神話TRPG
    年齢
    20
    性別
    血液型
    AB
    身長
    175
    一人称
    二人称
    お前
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    彫刻刀を常に腰からぶら下げている青年。非常に無気力。生きる意味は無く、産まれた理由も思い出せず、無駄を自覚しながら惰性のままに呼吸をし、誰とも関わらず、ただ無機物だけを相手にし、いつか訪れるであろう死を淡々と待っていた青年。

    「魂の重さは21g」

    そんな話をどこかで聞いたことがある。最初に聞いた僕の感想は「軽いな」、だった。

    中学一年生の時、父が死んだ。死因自体はよくある事故死で、片親になったことはこの時代にはよくある話だ。僕に父の影を見た気の狂った母が僕と性行為を始めたのも、きっと耳にタコが出来るほど使い古された話。
    繰り返された行為の結果「弟」が出来てしまったのも、きっと。
    新しい生命が産まれたらしい。僕の精子と母親の卵子が合わさって「子供」になったらしい。僕との行為が明るみに出た母は俺から引き離され精神病棟へ入れられることになり、僕は弟であり息子でもあるそいつの面倒を見ることになった。その時、僕は15歳。
    近親交配で生まれたそれは当たり前のように虚弱だった。弱々しい泣き声をあげ続けていたけれど、やがて一年も経つ頃には動かなくなっていた。
    「随分、軽いな」
    人形のように小さなそれが元は自分と同じ生命とは思えないほどに軽くて、抱えたまま暫くぼうっとその顔を眺めていた。
    どうすればいいのかわからなくて、僕はそのままそれをゴミ袋に詰めた。

    石になりたい、と思ったのはあの頃からだったかもしれない。少ないお金で彫刻刀を買って、その辺りの木を彫り始めたのも。石や木で出来た人型には命というものは宿っておらず、僕にはそれがなんとなく心地よくて。
    「あれは何のために生まれたんだろうな」
    かり、かりと石を削りながらそんなことを淡々と考えていた。
    「僕は何のために生まれたんだろうな」
    答えは無かった。昨日を生きた理由も、今日を生きる理由も、僕には分からなかった。

    惰性で通っていた高校を卒業する頃、母が家に帰ってきた。家に弟の姿がない事に驚き、叫び、泣いた母は僕を殴った。
    「なんでそんな無感情にいられるの?気持ち悪い、人殺し…!」
    既に18にもなっていた僕には母の平手打ちはそこまで痛いものではなかった。母の言葉も特に胸に響くことはなかった。
    「じゃあ何であれを産んだのか答えてよ」
    「それは…」
    堕ろすお金が無かったから。あらゆる意味で問題だったはずなのに、産まざるを得なかった理由。そんなことは知っていた。
    「あれが生まれた意味を教えてよ」
    「あれってさっきから…あの子には〇〇という名前が」
    「答えて」
    なぁ、
    「答えろよ」

    僕の問いに、結局母は満足の行く答えを返さなかった。そのまま僕は家を出た。もう何年も帰ってはいない。

    彫刻と人形作りで細々と生計を立てながら、毎日を繰り返していたある日。深夜買い物に行こうかと通りがかった桟橋で、橋の下をふと見つめた。
    「あぁ、ここから飛び降りれば死ねそうだな」
    そんな思考は、当たり前のように生まれた。

    死のうとした時、ふと声をかけられた。見れば見知らぬ長髪の男だった。
    彼は自分に言った。

    「僕が欠陥品である君に生きる意味を与えてあげる。『僕が君を愛すること』。それが君の生きる意味だ。君はただ僕に全てを差し出せばいい。僕は君を全て許容し、君の神様にだってなってみせよう」

    彼の言葉はひどく抽象的で、しかし堪え難い魅力があった。ただ僕はずっと生きる意味が欲しかっただけだったのかもしれない。

    「僕の世界の中で、僕が君を再定義してあげよう」
    「今日から君の名前は、充(まこと)だ」